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最終更新日 01/04/03 |
甲状腺はのど仏(甲状軟骨)の下にコウモリが羽根を広げたような形で、気管の前に位置します(右図)。 甲状腺は甲状腺ホルモンを合成、分泌する内分泌器官です。甲状腺ホルモンにはヨウ素を4個もつT4と3個もつT3があります。身体の成長、発育や新陳代謝の維持に必須で、精神活動にも重要な役割を果たしています。 また甲状腺ホルモンと脳下垂体から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の間には、甲状腺ホルモンの値が常に一定になるような調節機構が存在します。 甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症の典型的な症状は、新陳代謝が亢進するため、体重が減少し、脈が速く動悸や息切れを感じ、多量の汗をかき、体温が上昇し、手がふるえ、下痢をしやすく、そわそわと落ち着きがなくなります。 逆に甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症の典型的な症状は新陳代謝が低下するため、身体がむくみ、体重が増え、脈は遅く、体温が低下し、皮膚は乾燥し、便秘がちとなり、不活発・無気力になります。
心臓は甲状腺ホルモンに感受性が高いため他の臓器より影響を受けやすく、甲状腺ホルモンは直接的、間接的に心血管機能に作用し、甲状腺機能亢進症及び低下症は様々な循環器系の異常を起こします。 しかし、症状が多彩である場合や、症状が非典型的であり特に循環器系の症状が前面にでている場合、甲状腺の異常そのものが見逃されやすい事があり注意が必要です。 甲状腺ホルモンは直接心筋の収縮能を亢進させ、また間接的には心筋のベーター受容体の数を増加させ、カテコールアミンに対する心筋の感受性を亢進させます。心筋には主としてベーター1受容体があり、この受容体の刺激は頻脈と心筋収縮力の増強を引き起こします。また血管拡張作用も有し、心筋収縮力増加の一因となっています。 また甲状腺ホルモンは刺激伝導系に対する作用として、心房筋細胞の不応期を短縮させて心房細動を起こしやすくし、また房室結節の伝導時間を短縮し、不応期も短縮するため心房細動時に頻脈になりやすくなります。 次に甲状腺機能亢進症と低下症時の心臓、血管系の各症状を記します。
徐脈、心筋収縮能低下、心筋収縮及び拡張時間の延長、心拍出量低下、末梢血管抵抗の増大等機能亢進症と反対の事が起こります。
機能亢進症も低下症もどちらも甲状腺機能を正常にする事が原則であり、亢進症の場合抗甲状腺薬、アイソトープ治療、手術療法等があり、低下症の場合は甲状腺ホルモンの補充療法を行います。 その他心血管合併症にたいする治療として、上記の原因療法の他に頻脈性の心房細動に対して(心不全の合併がない場合)ベーター遮断薬を投与し、更に、ジギタリス製剤、カルシウム拮抗剤を併用する事もあります。甲状腺機能が正常になると1週間程度で約60%は自然に洞調律に復帰します。 甲状腺機能が正常になっても洞調律に戻らない方もいて甲状腺機能が正常になって、3〜4か月ほどして薬物または電気的除細動を行う事があります。 心不全の治療としては、通常の心不全治療と同様に安静、塩分制限、利尿剤等が中心となりますが、明らかに頻脈が心不全の一因になっている場合はベーター遮断薬を少量から注意深く投与する事もあります。 狭心症の治療としては、亜硝酸薬やカルシウム拮抗薬の投与が必要となりますが、特に機能低下症の場合冠動脈硬化のある方に甲状腺ホルモンを投与すると、狭心症、心筋梗塞を誘発する事があり注意が必要で、抗狭心症薬を併用し甲状腺ホルモンを少量から時間をかけて維持量にもって行く事が重要です。
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