ペースメーカー
の種類と機能
(Flash版)

ペースメーカーとは

Home

 

最終更新日 06/23/04

 

山田 路佳氏(元日本ビタトロン株式会社札幌営業所

プロダクトスペシャリスト)作成

 

 

ペースメーカーは以下のように3つの文字で機能を表しています。

1番目
刺激部位
  A: 心房
  V: 心室
  D: 心房と心室
  O: なし
2番目
感知部位
  A: 心房
  V: 心室
  D: 心房と心室
  O: なし
3番目
反応様式
  I: 抑制
  T: 同期
  D: 抑制と同期
  O: なし

※1番目の文字と2番目の文字は電極(リード)がおいてある心臓の部屋です。

※3番目の文字は心臓の動きを2番目の部位で感知したときにペースメーカーがどのように作動するかを表しています。

※4番目にR(レートレスポンス)がつくときがありますが、これはレート応答機能というものです。どういうものかについては後ほど説明します。

注意! いろいろなタイプのペースメーカーがありますが、病気の種類、状態等の様々な条件により使用できるペースメーカーと使用できないペースメーカーがあります。

では具体的にペースメーカーにはどのような種類があるのかを次にご説明しましょう。

VVI

1番目の文字がVなのでペースメーカーが刺激するところは心室で、2番目の文字もVなので自分の心臓の動きを感知するところも心室です。3番目の文字はIなので心室で心臓の動きを感知したときに、抑制するという意味になります。

どういうことかというと・・・・・・・

VVIペーシングでは1分間にペースメーカーが心臓を動かす(拍動させる)回数が設定されているのですが、それより心拍数が少なくならないように心室を監視しています。ペースメーカーは設定されている回数(レート)によって刺激を出すタイミングが決まります。ペースメーカーが刺激を出すタイミングより早く自分から心臓(心室)が拍動したときは右の図のようにペースメーカーは刺激を出しません(抑制)が・・・・・

ペースメーカーが刺激を出すタイミングまでに自分から心臓(心室)が拍動しなければ、ペースメーカーは決められたタイミングに刺激を出して心臓(心室)を拍動させます。

以上のことをくりかえして心臓(心室)の拍動を助けるのがVVIです。

VVIは電極(リード)が1本で済み、手術時間もあまりかからず、患者さんの負担も少なくて済むので多く使われています。

AAI

1番目の文字がAなのでペースメーカーが刺激するところは心房で、2番目の文字もAなので自分の心臓の動きを感知するところも心房です。3番目の文字はIなので心室で心臓の動きを感知したときに、抑制するという意味になります。つまりVVIペーシングと同様のことを心房で行うのがAAIです。

ペースメーカーは心房を監視しています。VVIと同様、AAIでもペースメーカーが刺激を出すタイミングはペースメーカーに設定されている心臓を動かす回数(レート)で決まります。

ペースメーカーが刺激を出すタイミングより早く自分から心臓(心房)が拍動した時、右の図のようにペースメーカーは刺激を出しません(抑制)が・・・・・・

ペースメーカーが刺激を出すタイミングまでに自分から心臓(心房)が拍動しなければ、右の図のようにペースメーカーは刺激を出して心臓(心房)を拍動させます。

AAIでは心房と心室が連動して動くので、正常な心臓と同じように動くという利点があります。しかし、心房から心室へ連絡を伝える線(刺激伝導系)に障害(例えば、線が完全に切れている、または切れかかっている等・・)がある場合には役に立ちません。ペースメーカーを植え込んでいないのと同じことになるからです。しかし現在、障害がないのはもちろんのこと、将来的にも障害が起こる恐れがないときはVVIと同様に電極(リード)も1本で済みますし、手術時間もあまりかからず、患者さんの負担も少ないので良い方法です。

VDD

1番目の文字がVなのでペースメーカーの刺激するところは心室です。

2番目の文字がDなので自分の心臓の動きを感知するところは心房心室の両方です。

※ちなみにDとはDualの略で両方という意味です。

3番目の文字もDなので自分の心臓の動きを感知したときに抑制または同期するということです。

ペースメーカーは心房と心室を監視しています。

VDDでは心房と心室が連動して動くので、正常な心臓の動きと同じになります。心房の拍動をペースメーカーが感知した後、一定の時間内にペースメーカーが心室の拍動を感知したら、右の図のようにペースメーカーは刺激を出さずにお休みします。

しかし、右の図のようにペースメーカーが心房の拍動を感知した後一定の時間内に心室の拍動を感知しなければ、ペースメーカーは刺激を出して心室を動かします。

以上のようにVDDでは心房の拍動にあわせて、一定時間内に心室が拍動すればペースメーカーはお休みし(抑制)、一定時間がたっても拍動しなければペースメーカーは刺激を出して心室を動かします(同期)。

VDDは心房の拍動にあわせるので、心房の機能に異常がある場合には使用できません。

心房の機能が正常であれば、心房から心室へ連絡を伝える線がたとえ切れていても、正常な心臓と同じように動かすことができ、最近では1本の特殊なリード線で使用できるので、良い方法です。

DVI

1番目の文字がDなのでペースメーカーの刺激するところは心房心室です。

2番目の文字がVなので自分の心臓の動きを感知するところは心室です。

3番目の文字もIなので自分の心臓の動きを感知したときに抑制するということです。

ペースメーカーはVVIのように決められたタイミング内に心室で拍動を感知したら、お休みします(抑制)が、拍動を感知しなければペースメーカーは心室に刺激を出します。

ただVVIと違う点は、心室の刺激を出す前にペースメーカーは心房を刺激して心房を動かすという点です。

そうすることによって心房と心室を連動させることができるので心臓を効率よく働かせることができます。

DDI

1番目の文字がDなのでペースメーカーの刺激するところは心房心室です。

2番目の文字がDなので自分の心臓の動きを感知するところは心房心室です。

3番目の文字もIなので自分の心臓の動きを感知したときに抑制するということです。

DDIはAAIとVVIがドッキングしたものと考えてください。

ペースメーカーに設定されている心臓を動かす回数(レート)によって、刺激を出すタイミングが決まります。

心房で心臓の拍動を感知したら、ペースメーカーはお休みします(抑制)し、感知しなければ刺激を出します。

同様に心室で拍動を感知したらペースメーカーは抑制し、感知しなければ刺激を出します。

DDIではもし心房が不整脈になってもVDDのように心房にあわせてペースメーカーが心室に刺激を出さないので、不必要な動悸を避けることができます。

DDD

1番目の文字がDなのでペースメーカーの刺激するところは心房心室です。

2番目の文字がDなので自分の心臓の動きを感知するところは心房心室です。

3番目の文字もDなので自分の心臓の動きを感知したときに抑制または同期するということです。

心房が拍動している時は、VDDと同じように心房の拍動を感知してから一定時間内に心室の拍動を感知すればペースメーカーはお休みします(抑制)し、感知しなければペースメーカーは刺激を出して心室を拍動させます(同期)。

また心房が拍動しない時はペースメーカーに設定されている心臓を動かす回数(レート)のタイミングでペースメーカーは心房を刺激します。そして一定時間内に心室の拍動を感知すればペースメーカーはお休みします(抑制)し、感知しなければ刺激を出して心室を拍動させます(同期)。

心房の拍動が早すぎる場合、ペースメーカーも心房にあわせて早く刺激を出してしまうので不必要に脈が早くなってしまいます。

ですから最近では、右の図のように心房の拍動が早すぎたらペースメーカーが自動的に脈を遅くするようにする機能がついています。

DDDはできるだけ心房と心室を連動させて動かそうとするペースメーカーです。正常な心臓と同じように動かせるペースメーカー(生理的ペースメーカー)の最も進んだタイプと言えるでしょう。

Rate-Response

私たちの身体は運動すると脈が増えていきます。それは運動した分、身体が酸素を欲するからです。ですから、酸素を身体中に運ぶ血液をより多く送り出そうとして、心臓の拍動回数が増えるのです。しかし、ペースメーカーを植え込まねばならなくなった方のなかには、身体を動かしても脈が増えない方がいらっしゃいます。そして障害のあり方によっては、今まで説明してきたペースメーカー(DDD,AAIなど)では脈を増やすことができない場合があります。このことは日常生活をおくる上でたいへん不利です。そのような方にレート応答機能(レートレスポンス)はとても役に立ちます。

レート応答機能がついているペースメーカーでは、体動などを感知すると、自動的にペースメーカーがその動きの度合いによってペースメーカーが刺激を出す回数(レート)を増やします。つまり運動すると脈が早くなり、運動をやめると脈が遅くなるようにペースメーカーが自動的に調節してくれるのです。

この機能によって、より本来の心臓の拍動に近づけることがかなり実現され、日常生活をおくる上でも制限が少なくなります。

謝辞: 忙しい仕事の合間をぬって、「ペースメーカーのしくみ」についてのホームページを分かり易いアニメーションで提供していただいた山田路佳氏に感謝いたします。