下肢静脈瘤

 

   

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当科では火曜、木曜の午前と午後、水曜の午前に下肢静脈瘤の診察の受付をしています。

H16/6/11より金曜午後の血管外来では心臓血管外科専門医による診療を行なっています。詳細はここをクリックしてください。

最終更新日 06/04/04

下肢静脈瘤とは?

下肢の静脈が太く、浮き出ているものを「下肢静脈瘤」といいます。静脈瘤の多くは太くなっているばかりではなく、曲りくねっています。また同じ静脈瘤でも太さはいろいろです。

静脈瘤のなかでも「伏在(ふくざい)静脈瘤」は、最も太く、外来にみえる患者さんの約7割がこのタイプの静脈瘤です(写真右)。さらに血管の太さが1〜2mmくらいの「網目状静脈瘤」、血管の太さが1mm以下の「クモの巣状静脈瘤」と分けられます。

下肢静脈瘤の症状

たくさん静脈瘤ができていても全く症状のない人もいますが、静脈瘤ができると、「あしがむくむ、だるい、重い、痛む、ほてる」などの症状が出やすくなります。あしの筋肉がつる、いわゆる「こむら返り」もおきやすくなります。症状が重くなると湿疹ができたり、色素沈着、潰瘍ができます。

静脈瘤の誘因は、「立ち仕事、出産、遺伝」です。お母さんや姉妹に静脈瘤がある女性に静脈瘤ができやすく、妊娠をきっかけに静脈瘤ができ、立ち仕事に従事したり、年齢がすすむにつれ静脈瘤が進行します。

静脈瘤のできる原因

あしの静脈の構造

血管には「動脈」と「静脈」があります。心臓からでた血液は、動脈を通って体の隅々にし、きわたり、その後は静脈を経由して心臓に戻ります。あしでは、深いところを走る「深部静脈」と皮膚表面近くを走る「表在静脈」を経由して血液が流れます。表在静脈の代表が「大伏在静脈」と「小伏在静脈」です。また、深部静脈と表在静脈は「交通枝(穿通枝)」という短い血管でつながれています(右図)。

静脈還流のしくみ

血液が心臓へ戻ることを「静脈還流」といいますが、この静脈還流には静脈の内側にある「弁」が大きな役割を果たしています(左図)。2本足で立って生活している人間では血液はその重みで下の方へ戻ろうとします。この下への逆流をくい止めているのが静脈の弁です。断面でみると、弁はハの字型をしているため、上向きには血液が流れても、下へは流れない一方通行の流れをつくっているのです。この静脈弁の機能不全が生じると、静脈瘤ができてきます。

静脈瘤のできかた

多くの静脈瘤は、表在静脈(とくに大伏在静脈や小伏在静脈)の弁が壊れて発生します。弁が正常に働かないと、血液は逆流することになり、あしの下の方に血液が溜まり、その結果、静脈は拡張し、静脈瘤ができてきます。右図の左は正常な血液の還流、右は静脈瘤の場合の血液の逆流を示しています。深部静脈血栓症の結果静脈内圧の上昇のため弁が壊れ静脈瘤が出来る場合もあります。

静脈瘤の治療

現在よくおこなわれている治療法は3つです。つまり、弾力ストッキング、ストリッピング手術、硬化療法です。

1)弾力ストッキング

ストッキング・パンストタイプ・ハイソックスなどの種類があり圧迫力も弱圧・中圧・強圧とわかれています。静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、軽症例ではかなり効果が期待できます。当科では外来にてサイズ合わせをさせていただき、希望により試用後、当院売店でお求めいただいています。下肢静脈瘤に関しては保険適応ではありませので3000円前後の自己負担になります。平均的にはストッキングの寿命は半年位でしょうか。

参考のために当科で採用している弾力ストッキングについての情報へのリンクをお示しします。

2)ストリッピング手術

ストリッピング手術は、悪くなった血管内にワイヤーを通し、ワイヤーを引き抜くことによって静脈瘤を取り去る手技で、大伏在静脈あるいは小伏在静脈を引き抜き、さらに小さい皮膚切開により静脈瘤を切除するものです。多くは全身麻酔や下半身麻酔でおこなわれます、手術の傷跡が残り、1〜2週間の入院でおこなう施設が多いのですが、どんな大きな静脈瘤でも確実に治療できます。

3)硬化療法

硬化療法は、直接静脈瘤に薬(硬化剤)を注射するものです。硬化剤は静脈を癒着させペシャンコにする接着剤の役割をはたします。その結果、静脈瘤は小さく目立たなくなり、血液か溜まらないために、だるさやむくみが無くなります。硬化療法のあと、注射をした部位にしこりや色素沈着がおこりますが、次第に薄くなり消失します。硬化療法に要する時間は1回が1O〜15分程度です。1本のあしにつき1〜2回の治療回数ですみますが、血栓が多量に生じる場合激しい痛みを生じることがあります。

4)結紮術の併用

ところで静脈瘤のみを硬化療法で治療しても、弁が壊れているために血液が逆流している伏在静脈を放置しておくと、病気の根本原因をなおしていませんから将来再発する恐れかあります。そこで血液の逆流の強い人には伏在静脈の結紮術をおこないます。結紮術は、皮膚に小さい切開を加え、静脈をしばるものです。これにより血液の逆流を止めてしまうわけです。よく「血管をしばってしまうと、血液の流れが悪くなってしまうのではないか」と心配されますか、血液は表在静脈よりずっと太い静脈(深部静脈)を流れますので全く支障がありません。

結紮術は局所麻酔ででき1ヶ所約15分です。静脈瘤の状態に応じて1ヶ所から3ヶ所位の結紮術をおこないます。結紮術も通院でおこなわれることが多く、次の日から元の仕事、日常生活が可能です。勿論、すべての人に結紮術が必要なわけではありません。静脈瘤の種類、血液の逆流の強さを考え、硬化療法だけで治療したり、硬化療法に結紮術を加えたりします。

治療法の選択

硬化療法には、通院でできる、簡単である、体への影響が少ない、という利点があります。しかし、ストリッピング手術にはどんな大きな静脈瘤でも確実に治療できるという利点があります。大きな静脈瘤や潰瘍をつくっている患者さんにはストリッピング手術が向いています。治療法を選択される際は主治医とよく相談されると良いでしょう。

日常生活での注意

1)下肢に血液が溜まらないように、長時間の連続した立ち仕事はさけましょう。立ち仕事中は1時間の仕事に5〜10分間は、あしを心臓より高くして休息しましょう。休息がとれない方は、足踏みをしたり、歩き回ったりしてください。あしの筋肉を使うと、筋肉のポンプ作用で静脈環流がよくなります。

2)夜寝るときには、クッションなどを使用しあしを高くして休みましょう。

3)立ち仕事や外出のときには、弾性ストッキングをはいてください。

4)下肢の清潔を保ちましょう。

 

この解説はアルケア(株)刊行の小冊子「下肢静脈瘤==原因と治療」を参考に作成しました。