Widespread Coronary Inflammation
in Unstable Angina
Antonino Buffon, M.D., Luigi M. Biasucci, M.D.,
Giovanna Liuzzo, M.D., Giuseppe D'Onofrio, M.D., Filippo
Crea, M.D., and Attilio Maseri, M.D.
NEJM 347:5-12, 2002
(目的)
脆弱な冠動脈プラークの炎症はプラークの破裂やビランにより不安定狭心症の原因と考えられている。不安定狭心症では活性化された白血球が末梢や冠静脈に出現するが、責任冠動脈内で選択的に活性化されるかどうかについては不明である。
(方法)
心臓と大腿部の血液から好中球myeloperoxidase(MPO)を5群の患者で測定した。左前下行枝(24例)および右冠動脈(9例)の不安定狭心症;安定狭心症(13例);発作の頻発する異型狭心症(13例);健常群(6例)の5群である。採血は大動脈、大腿静脈、左冠動脈から還流する大心静脈から行なった。
(結果)
好中球のMPO含有量は不安定狭心症の両群では差がみられなかったが(-3.9
vs
-5.5、マイナスは好中球活性化による枯渇を意味する)、他の3群より有意に低下していた(p<.05)。狭窄部位とは無関係に不安定狭心症の両群では好中球MPOは有意に低下していたが(左冠動脈病変で-6.4、右冠動脈病変で-6.6)、安定狭心症群、異型狭心症群、健常群では低下はみられなかった。また不安定狭心症の両群では冠循環でのMPOの有意の低下が観察された。
(結論)
不安定狭心症例では責任病変血管の部位に関係なく、広範な好中球の活性化が冠循環全体でみられ、不安定冠症候群の責任冠動脈のプラーク局所の脆弱性説の見直しが必要である。
(注釈)
好中球のライソゾーム酵素は侵入した細菌に対して殺作用を示すことが第一義的役割であることはよく知られている。この殺菌作用を担うライソゾーム酵素の中でも好中球に固有myeloperoxidase(MPO)は、細菌感染等に伴って血中の活性が高値を示すが、炎症がおさまるとともにほとんど活性が認められなくなる。MPOは好中球に含有される量が極めて多くH2O2とClを基質とする酵素である。MPOの触媒によって生成されたOCl‐イオンが殺菌物質として作用するが、その反面、組織・細胞破壊力もある。もし、血中で作用すると血管障害などをおこし、本来の機能からはずれて自己破壊の役割をすることになる。