CARDINAL(The Complement
And ReDuction of INfarct Size after Angioplasty or
Lytics)
75th Scientific Sessions of the AHA, Nov.
17-20 , 2002
Presenter: Christopher B. Granger, Durham,
North Carolina
(目的)
急性心筋梗塞のPCIまたは血栓溶解治療による適切な再灌流療法もかかわらず、死亡率や心不全への増悪率は依然として高い。実験的には虚血や再灌流による細胞障害の問題が心筋梗塞でのアウトカム改善に大切と示唆されている。残念ながら急性心筋梗塞での従来の薬剤では十分な心筋保護効果を得られていない。今までの薬剤は血流改善を意図したものであるが、ひとつの代替的治療としては虚血性心筋障害に対する特異的効果にターゲットを絞ることであるかもしれない。
Pexelizumabは補体であるC5に対するモノクローナル抗体で以後の補体カスケードをブロックする。結合は特異的であり、単回静注にて直ちに補体の溶血活性を4時間に渡りブロックする。単回静注と点滴だと24時間ブロックする。
(方法)
CARDINALはpexelizumabの急性心梗塞の血栓溶解療法(n=943)かPCI(n=960)による梗塞サイズの現象を評価する試験であり、それぞれ
COMPLY (COMPlement Inhibition in Myocardial Infarction
Treated with ThromboLytics)研究とCOMMA (COMplement
Inhibition in Myocardial Infarction Treated with PTCA)
研究として別々に実施された。
COMPLYとCOMMA研究はST上昇型急性心筋梗塞で6時間以内の発症の患者を3つの群に無作為に割り付けた。pexelizumab
2.0 mg/Kgの単回静注群、同様の単回静注後に0.05
mg/Kg/hrで20時間の点滴併用群、プラシーボ群の3群である。群間の患者背景に差はなかった。
一次エンドポイントはCK-MBの72時間のAUCによる梗塞サイズであり、二次エンドポイントは死亡、心不全、心源性ショック、脳卒中の複合であり、90日間のそれぞれの評価と6ヶ月の死亡率も集計した。
(結果)
COMPLY研究は血栓溶解療法を受けた急性心筋梗塞例でのpexelizumabの梗塞サイズへの効果を検討した。943例がエントリーされたが、最終的に解析されたのはエントリー条件に適合する920例であった。COMPLYの一次エンドポイントに差はなく、臨床的な複合エンドポイントは3群では差はみられなかった。
COMMA研究はPCIを受けた急性心筋梗塞例でpexelizumabの梗塞サイズ減少効果を検討した。最終解析は814例でおこなわれた。3群の臨床背景には差は見られなかった。COMPLY研究と同様一次エンドポイントの梗塞サイズには3群で差はなく臨床複合エンドポイントも同様であった。注目すべきは静注+点滴群で90日の死亡率が有意に減少していた。
またこの所見は6ヶ月後の追跡でも同様に見られ、静注群、静注+点滴群で有意に減少していた。
薬剤の安全性に関しては良好で感染、敗血症、心筋破裂などの増加は見られなかった。
(結論)
COMPLY研究とCOMMA研究からpexelizumabは安全で忍容性に優れ、再灌流療法を受けた急性心筋梗塞患者の補体活性を効果的にブロックした。しかしこの薬剤は梗塞サイズ、臨床的複合エンドポイント(死亡、心不全、心源性ショック、脳卒中)には影響しなかった。
血管形成術を施行したCOMMA研究では死亡率は二次エンドポイントで死亡総数は少なかったもののpexelizumabの静注+点滴群により有意に死亡率が減少した。今後死亡率への効果を検討する大規模研究が必要と考えられた。