ALLHAT

 

Home

印刷用ページ

最終更新日 01/19/03

 

ALLHAT (The Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)

ALLHAT Collaborative Research Group

JAMA 2002:288: 2981-2997

(目的)

心血管疾患発症に関して、高血圧患者に対する降圧薬投与のクラス別の有用性を検討した。

(方法)

一次エンドポイントとして致死的冠動脈疾患、非致死的心筋梗塞、二次エンドポイントとして総死亡、冠動脈疾患、脳卒中、心血管疾患(脳血管疾患、うっ血性心不全、末梢動脈疾患)、左室肥大、腎疾患(末期腎不全、血清クレアチニン)などとした。

試験デザインは無作為割付け、二重盲検試験とし、追加薬以降はオープンラベル、多施設(アメリカとカナダの625施設)でintention-to-treat解析とした。 平均4〜8年間追跡した。

対象は55歳以上の高血圧(140〜180/90〜110 mmHg)で、高血圧以外の冠動脈疾患の危険因子を1つ以上有する(心筋梗塞・脳卒中の既往、血行再建術歴、動脈硬化性心血管疾患、2型糖尿病、喫煙、HDL-コレステロール低値例、左室肥大)ハイリスク群とした。

6カ月以内の心筋梗塞・脳卒中・うっ血性心不全の徴候、左室駆出率35%未満、試験薬過敏症・投与禁忌、第二次選択薬の使用でも降圧目標値に達しない場合は除外した。

対象症例を、無作為に以下の4群に割り付けた。

1)クロルタリドン群(日本名 ハイグロトン、12.5-25mg/日)(対照群)は15255例

2)ドキサゾシン群(日本名 カルデナリン)は9067例(2000年2月に中止)

3)アムロジピン群(日本名 アムロジン、ノルバスク、2.5-10mg/日)は9048例

4)リシノプリル群(日本名 ゼストリル、ロンゲス、10-40mg/日)は9054例

降圧目標値は140/90mmHgとし、第二次選択薬としてレセルピン(0.05〜0.2mg/日)、クロニジン(0.1〜0.3mg×2回/日)、アテノロール(25〜100mg/日)、第三次選択薬ヒドララジン(25〜100mg×2回/日)を用いた。

(結果)

1994年2月14日〜1998年1月31日が登録期間で、登録症例:625施設42,448例であった。平均年齢は67歳で60〜69歳が45.8%、70〜79歳が28.6%、80歳以上が6.5%を占めた。また男女比は男性53%、女性47%であり、人種的には白人以外では黒人36%、ヒスパニック19%であった。糖尿病合併率は36%であり、心血管疾患合併率は47%で、喫煙者は22%であった。

アムロジピン群9048例とクロルタリドン群15255例の比較試験とリシノプリル群9054例とクロルタリドン群15255例の比較試験の結果は以下の通りである。

● 服薬コンプライアンス

 

1年後
5年後
クロルタリドン群
87.1%
80.5%
アムロジピン群
87.6%
80.4%
リシノプリル群
82.4%
72.6%

● 血圧の変化

 

治療前
1年後
5年後
5年後の降圧目標達成率
クロルタリドン群
146/84
137/79
134/75
68%
アムロジピン群
146/84
139/79
135/75
66%
リシノプリル群
146/84
140/80
136/75
61%

5年後の収縮期血圧はクロルタリドン群に比しアムロジピン群(0.8mmHg、p=.03)、リシノプリル群(2mmHg、p<.001)で高く、拡張期血圧はアムロジピン群で低かった(0.8mmHg、p<.001)。

1次エンドポイント(致死的冠動脈疾患、非致死的心筋梗塞)は3群で同等であった。

2次エンドポイントで有意差があった主要な点は

● 2次エンドポイントの全心血管系疾患の発症リスクはリシノプリル群で10%高かった(p<0.001)。

● リシノプリル群で脳卒中の発症リスクが15%高かった(p=0.02)。

心不全の発症リスクはCa拮抗薬群で38%高く、(p<0.001)、リシノプリル群で19%高かった(p<0.001)。

心不全
心不全総数
心不全による入院/死亡
(発生率/100人/6年)
(発生率/100人/6年)
クロルタリドン群
870 (7.7)
724 (6.5)
アムロジピン群
706 (10.2)*
578 (8.4)*
リシノプリル群
612 (8.7)*
471 (6.9)
クロルタロドン群に比し有意に多い(* p<.001)

心不全の入院に関するサンプル調査ではエンドポイント判定小委員会と臨床医の診断の一致率は85%であった。

● 血液生化学の変動

血清K値 mEq/L
治療前
4年後
3.5未満の%
クロルタリドン群
4.3
4.1
3.4→8.5
アムロジピン群
4.3
4.4
3.4→1.9*
リシノプリル群
4.4
4.5
2.6→0.8*
クロルタロドン群に比し有意に少ない(* p<.001)

FPG mg/dL
治療前
4年後
126以上の%
クロルタリドン群
124
126
28.9→32.7
アムロジピン群
123
124
29.2→30.5
リシノプリル群
123
122*
29.4→28.7**
クロルタロドン群に比し有意に少ない(* p=.002、**p<.001)

非DM例(FPG<126 mg/dL)のFPG変化
FPG mg/dL
治療前
4年後
126以上の%
クロルタリドン群
93
104
11.6
アムロジピン群
93
103
9.8**
リシノプリル群
93
101*
8.1#
クロルタロドン群に比し有意に少ない(*p<.001、** p=.04、# p<.001)

Chol mg/dL
治療前
4年後
240以上の%
クロルタリドン群
216
197
26.5→14.4
アムロジピン群
217
196*
26.6→13.4
リシノプリル群
216
195**
25.4→12.8#
クロルタロドン群に比し有意に少ない(*p=.09、** p<.001、# p<.005)

(結論)

1次エンドポイント(致死的冠動脈疾患、非致死的心筋梗塞)は3群間で同等であり、アムロジピンでは利尿薬に比較し心不全発症リスクが38%増加し、予想に反してリシノプリルでは利尿薬に比較し脳卒中発症リスクが15%、心不全発症リスクは19%と高かった。以上より降圧治療薬のCa拮抗薬、ACE阻害薬、利尿降圧薬の3つのクラスの中では降圧利尿薬が第1選択と考えられた。

 

参考文献:

ALLHAT Web Site

上のサイトで提供しているALLHAT研究の結果を踏まえての高血圧治療に関する医師のためのクリアカットなFAQ(英語)

上記のFAQを当科で一部日本語訳したページ

 

 

この研究結果への個人的感想