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生活習慣病の外来治療コスト低減のために
生活習慣病等の慢性疾患の長期投薬に関する当科のスタンス
平成14年4月から施行された社会保険診療報酬等の改定により一部の医薬品(麻薬、向精神薬、発売1年以内の医薬品)を除き、慢性疾患の増加に伴い、薬剤投与期間に係る規制が原則、廃止されました。すなわち1回の薬剤の投与期間が医師の裁量に任されることになりました。
それを受けて、当科では下の表に示すような大部分の慢性疾患群で症状、所見が安定し、薬の副作用も出現せず、自己管理もよく出来た患者さんを対象に2〜4ヶ月間の長期投薬を開始し1年以上が経過しました。現在まで長期投薬に伴う病状の悪化、服薬の順守度の低下、副作用の発見の遅れ等の重大な問題も生じてはおらず、かえって生活の自由度(QOL)の拡大、自己負担の軽減といったメリットが患者さんにも大変好評で順調に推移しています。
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高血圧症
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生活習慣の修正と薬物療法により血圧が降圧目標範囲に達していて、標的臓器の合併症があっても安定しており、家庭血圧日記を外来受診時に提出可能な方。
また投薬期間のみならず、当科では2002年12月に公表された史上最大規模の降圧薬の比較試験であるオールハット(ALLHAT)研究の成果、すなわちサイアザイド系利尿降圧薬がカルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に比較して何ら遜色ない降圧効果と脳、心、腎の合併症の予防効果があることが確認されたことを踏まえて、利尿降圧薬を積極的に第1次選択薬あるいは第2次選択薬として重要視してきました(下表参照)。2003年5月の米国高血圧合同委員会の勧告でもオールハット研究の結果を踏まえて利尿降圧薬の評価が高まりました。
ちなみに当科で繁用される常用量での平均的な1日当たりの薬剤別の費用は利尿降圧薬が約5円、カルシウム拮抗薬は約70円、ACE阻害薬は約90円であり利尿降圧薬の費用対効果比は強力です。
下の表にオールハット研究が発表されたH14年12月前後の当科でのサイアザイド系利尿降圧薬の処方箋枚数の推移をお示ししています。
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H14年10月
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H14年11月
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H14年12月
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H15年01月
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H15年02月
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H15年03月
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サイアザイド系処方箋数
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67
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57
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97
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220
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195
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224
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外来処方箋総数
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2474
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2195
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2469
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2350
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2095
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2321
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高脂血症
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生活習慣の修正と薬物療法により高脂血症が目標範囲に達していて、標的臓器の合併症があっても安定している方。
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高尿酸血症
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生活習慣の修正と薬物療法により尿酸値などが目標範囲に達していて、腎機能も良好で、痛風発作もない方。
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虚血性心疾患
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生活習慣の修正と薬物療法、血管内手術、冠動脈バイパス手術等により狭心症がないか、あっても安定狭心症に留まり、心機能も良好な方。特に病診連携の糖尿病専門医にかかられていれば3ヶ月までの長期投与も可能です。
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心房細動
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心房細動で適切な心拍コントロールまたは発作予防や必要に応じた抗血栓療法がおこなわれ、心機能も安定した方。
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下のグラフは当科外来におけるH14年10月から6ヶ月間の28日間以上の長期投薬例の期間別処方箋枚数の統計を示していますが、6割強の方が2ヶ月間から3ヶ月間の長期投薬を受けていることがお分かりいただけると思います。度数分布データはこちら。
なお長期投薬されている場合でも、急に具合が悪くなった患者さんについては昼夜を問わず、いつでも循環器科スタッフが応対いたしますのでご安心ください。
生活習慣病の方の年々増加する医療費の自己負担の真の軽減のためには
- 医療スタッフによる教育と患者さんの自覚による生活習慣の修正
- 主治医が費用対効果比や服薬の順守度も考慮した上での投薬
- 主治医の判断による疾患の安定度に応じた受診と長期投薬
- 主治医の適切な判断による必要最小限の検査の指示
などを実行することはもとより、それぞれの慢性疾患の適切な治療ガイドラインや最新の臨床研究の成果を参考に、一人一人の事情に応じた治療目標を達成することこそが、患者さんが健康寿命を延ばして人生を愉しむことすなわち生活の自由度(QOL)を拡大されることへの一助になると考え、当科のスタッフ一同は微力ながら努力する所存です。
文責 札幌厚生病院循環器科主任部長
神田孝一
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