93.心臓と腎臓との関係を考えることがより実際の臨床では重要ではないかと考えております。 94.では、心臓と腎臓との間にはどのような連関があるのでしょうか。心拍出量の25%を腎臓は受けています。容量が増加しますと、心臓の前負荷が増します。レニン−アンジオテンシン系が亢進しますと、心臓の後負荷を増します。一方、交感神経系の亢進は心臓と腎臓の双方に影響を及ぼします。また、心臓はナトリウム利尿ペプチドを出すことによって腎臓での後負荷を軽減するように働いていると考えられています。 95,96.そこで心臓と腎臓との関係を大規模臨床試験で見てみますと、古くは例えば CONSENSUS(CooperativeNorth Scandinavian
Enalapril Survival Study)試験
(30)という心不全を対象にした試験がありますが、これで見てみますと、なんと血清クレアチニンが倍になってしまったのが11%、さらに30〜100%上がったものが24%あった。 95、96.あるいはSOLVD(Studies of Left Ventricular
Dysfunction)研究
(31)、これも左心室機能不全について見たものですが、血清クレアチニンが2以上に上がってしまったというのが約10%見られたと報告をされています。 98,99.しかし最近心臓の予後はどうも腎臓が決定しているらしいという報告がMICROHOPE(Microalbuminuria,
Cardiovascular, and Renal Outcomes, Heart Outcomes
Prevention Evaluation) (32)という報告でなされました。 これを見ていただきますと、すなわち血清クレアチニン値でみますと、1.4mg/dl以上と未満では、この水色のプラセボを使ったところを見てみますと、心筋梗塞において約1.7倍、心血管死において2倍近くの差があります。これにACE阻害薬を用いるとその差が縮まることはありますが、腎臓が悪いということが心臓の予後に大きな影響を与えているということはおわかりになっていただけると思います。 100.最近はこのように多くの類似の報告がされていまして、 101,102.例えば慢性心不全の検討では、クレアチニンクリアランスは左室駆出率と運動耐用能とは独立した死亡予知因子である。 すなわちこの図を見ていただくとおわかりのように、糸球体濾過量が65を切ってきた段階で明らかに生存率が落ちてくるということが報告されています。 103,104.さらに腎機能が低下している症例では、心筋梗塞後の予後の不良が報告されています。 すなわち血清クレアチニン値が1.5mg/dl以上になると、1年の生存率は60%を切ってしまうということが言われています。 105,106.一方、降圧度とは無関係にやはり腎機能が予知因子であるということがHOT研究のサブ解析から出ております。 107.これを見ていただきますと、クレアチニンクリアランス別に見てみますと、心筋梗塞あるいは脳卒中、心血管系の死亡も明らかに腎臓が悪い、すなわち腎機能低下例で1.5倍以上の相対リスクがあることがわかっています。 108,109.もちろんこれらに加えて、例えば中国で行われた高齢者収縮期高血圧においても腎機能は予後予知因子になりうるということが報告されているわけです。 110.腎障害を基礎とする高血圧で私は以上述べたように、年齢と疾患を考慮することが重要であると。さらにそこに心病変を加える。
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