62.さらに次に、高齢者の腎障害の高血圧について見てみますと、先ほどのMDRDでは60歳以上では厳重管理でも135/85mmHgという線を出しています。

63.そこで私どもは60人近い高齢者の腎障害を伴った高血圧に対して、カルシウム拮抗薬を単独投与するものと、ACE阻害薬を併用するもので見てみました。

64,65.当然のことですが、高齢者になればさまざまな疾患が含まれておりました。そこでどういうことかというと、高齢者の腎障害では、必ず血管病変を有しているということが一つの大きな特徴であろうと私は考えています。すなわち高齢者では当然のことですが、動脈硬化、あるいは血圧による腎硬化という病変があるだろうと思われます。

66.それでこれを見たところ、カルシウム拮抗薬単独でも十分に1年間にわたって血圧を下げることが出来たわけです。

67.一方、ACE阻害薬群ではやはりACE阻害薬を併用している関係上、血圧が少し高いということはあったわけですが、このようにやはり血圧を十分に下げることができた。

68.一方、これらを比較してみますと、6か月、12か月で見てみたわけですが、ほとんど1年間でこれらの人たちは大きな変化を見出すことはできませんでした (20)。

69.そして心血管系合併症ですが、これも有意差はつかなかったわけですが、単独投与群では狭心症2例、脳梗塞1例。ACE阻害薬併用群では脳梗塞1例の結果が得られました。

70.さらに興味深いことは、カルシウム拮抗薬で見てみると、血圧が160前後から140台に下がった群においては血清クレアチニンが比較的下がっている。一方、血圧が不十分にしか下がっていない症例、あるいは血圧が過度に下がりすぎた群においては、血清クレアチニンで見る限りにおいて、腎機能障害があまり改善しない、あるいはむしろ上昇するということが得られました。もちろんこれは数が大変少ないので、このようなことを明確に言うことは難しいですが、一定程度の傾向が得られているのではないかと考えています。

71.ということから、私どもは高齢者ではカルシウム拮抗薬の積極的使用も考慮するというふうに考えております。

72.さらに高齢者の腎障害では収縮期血圧が重要であると考えています。

73.そこで、このようにして私たちがやってきたところで得た感触といたしましては、併用療法というものが勧められるのではないかと考えております。

74.すなわち併用療法、FACET(Fosinopril vs Amlodipin in Cardiovascular) (21)研究というものがあるわけですが、これを見てみますと、フォシノプリル、これは日本で採用されていないACE阻害薬ですが、これとアムロジピン(カルシウム拮抗薬)を併用することによって心血管イベントの予防が充分に抑制されます。

75.あるいは多くの大規模臨床試験では、例えばUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study) (22)、ABCD(Appropriate Blood Pressure Control in Diabetes) (23)、MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)、HOT(Hypertension Optimal Treatment) (24)、AASK(African American Study for Kidney Disease and Hypertension) (25)といったようなさまざまな大規模臨床試験でも、血圧を十分に下げるには少なくとも3つの降圧薬が必要であるということが示されているわけです。

76.そこでまず、レニン−アンジオテンシン系抑制薬とカルシウム拮抗薬との併用について見てみたいと思います。

77.これはNephros Study (26)ですが、最初にβ遮断薬と利尿薬を用いて拡張期血圧を下げる。

78.そしてカルシウム拮抗薬であるフェロジピンとACE阻害薬であるラミプリルを用いる。それらを併用するということで2年間見た成績があります。

79.そうしますと、副作用で見てみますと併用の方が少なく、ACE阻害薬で9例、併用で6例、カルシウム拮抗薬で5例という結果でした。

80.そして降圧の度合いを見てみると、ACE阻害薬とカルシウム拮抗薬が各単独群よりもより一層血圧を下げているのがわかります。

81.さらに、GFRの低下度は併用療法のほうがより優れているということが出されています。

82.さらにこのアムロジピンとACE阻害薬であるベナゼプリルを用いた併用試験では、やはり有効率は高まる。

83.あるいはこれでご覧のように、単独治療よりははるかに降圧が得られる。

84.あるいはさらに興味深い点ですが、ACE阻害薬で有名な咳嗽に関してカルシウム拮抗薬を併用することによって消失もしくは軽減するというような結果も得られているわけです (27)。

85,86,87.さらにおもしろいことには、アルブミン尿を減らしたりするということもこのような併用群では可能だとされています。腎臓のクリアランスについては併用してもほとんど影響を及ぼさない。

88,89.次にAII受容体拮抗薬とACE阻害薬の併用ですが、AII受容体拮抗薬とACE阻害薬はこのように血圧あるいは蛋白尿においてほぼ同様な効果を示すことがわかっております。

90.そしてこれはACE阻害薬とAII受容体拮抗薬がIgA腎症の蛋白尿をこのように見事に減らすということを示されました (28)。

91,92.さらに日本では、中尾先生たちが併用療法をするとこのように見事に2.5g平均あった蛋白尿を明らかに1g以下に落とす一方、単独治療ではそれを落とすことができないということが示されたわけです (29)。

そして私は今見てきましたように、腎臓で血圧を下げる、併用治療で血圧を下げるということがどの段階においても重要であるということを示してきたわけですが、

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