アムコラル薬剤情報

 

   

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 アムコラル薬剤情報

アムリノン amrinone 急性心不全治療剤

【組成】

[注]:1アンプル(10 ml,20 ml),1 ml中5 mg。pH:3.5〜4.5 浸透圧比:約1 アム リノンは微黄色〜淡褐色の結晶性の粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある。メタノ−ル又はエタノ−ルに溶けにくく,水に極めて溶けにくく, エ−テルにほとんど溶けない。融点:約297゜(分解)

【適応】

次の状態で他の薬剤を投与しても効果が十不分な場合:急性心不全

【用法】

注射液そのまま又は必要に応じて生理食塩液で希釈し,1 mg/kgを3〜5分かけて緩徐に静注し,引き続き10 μg/kg/分で点滴静注。点滴投与量は,病態に応じて5〜15 μg/kg/分の範囲で適宜増減

【注意】

(1)一般的注意

(a)他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮する

(b)投与前に体液減少及び電解質の是正,呼吸管理等の必要な処理を行う

(c)血圧,心拍数,心電図,尿量,体液及び電解質,また可能な限り肺動脈入圧,心拍出量及び血

液ガス等,患者の状態を観察しながら行う

(d)投与後,90分間で臨床症状の改善がみられない場合,中止し,適切な処置を行う

(e)投与により臨床症状が改善し,患者の状態が安定した場合(急性期の状態を脱した場合)には,他の治療方法に変更する。なお,1日の総投与量は10 mg/kgを超えない

(f)投与中に,過度の心拍数増加, 血圧低下が現れた場合には,過量投与の可能性があるので,このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行う

(g)高度の大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄等がある患者では,改善がみられない可能性がある

(h)高齢者では,肝・腎機能が低下していることが多く,副作用が発現しやすいと推定されるので,血圧,心拍数,心電図,尿量,体液及び電解質,また可能な限り肺動脈入圧,心拍出量及び血液ガス等, 患者の状態を十分観察しながら,点滴静注の際には1分間当たり5 μg/kgから開始し,過量投与にならないよう投与量に注意する

(i)利尿剤を大量に投与されている患者では,十分反応しない可能性があるので注意する

(j)不整脈のためジギタリス療法を受けている患者では,過度の利尿により低カリウム血症を起こしやすいので注意する

(k)急性心不全患者では,不整脈が現れることがあり,本剤投与によりその可能性を高めるおそれがあるので,注意する

(l)無症候性で可逆的な血小板減少,肝機能障害等が現れることがあるので,定期的に検査を行うなど臨床検査値の変動に注意し,異常が認められた場合には,中止し,適切な処置を行う

(m)ブドウ糖を含む溶液と混合しない(ただし,適用上の注意の項(c)参照)

(2)禁忌

(a)肥大型閉塞性心筋症のある患者

(b)本剤又は亜硫酸塩に過敏であることが知られている患者

(3)慎重投与

(a)重篤な頻脈性不整脈のある患者

(b)血小板が10万/mm3以下の患者

(c)重篤な肝・腎機能障害のある患者

(d)著しく血圧の低い患者

(e)高齢者

(f)喘息のある患者(添加剤として使用しているピロ亜硫酸ナトリウムに対して感受性の高い患者ではアナフィラキシ−様の症状を起こすおそれがある)

(4)副作用

(a)循環器:ときに頻脈,上室性又は心室性期外収縮,完全右脚ブロック等の不整脈,血圧低下が現れることがあるので観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量又は中止するなど適切な処置を行う

(b)消化器:ときに嘔気,嘔吐,上腹部痛が現れることがある

(c)呼吸器:ときに動脈血酸素分圧の低下,咳嗽が現れることがある

(d)精神神経系:ときにめまい等が現れることがある

(e)血小板減少が現れることがある

(f)その他:ときに顔面のほてり感,全身灼熱感,注射部位の疼痛,眠気,鼻閉感,浮腫が現れることがある。また,ときにLDHの上昇,総タンパク,カリウムの減少が現れることがある。外国において,まれに肝機能障害(肝酵素・ビリルビン値の上昇及び黄疸)が報告されている。また,経口投与で過敏反応が報告されている

(5)高齢者への投与:

高齢者では,肝・腎機能が低下していることが多く,副作用が発現しやすいと推定されるので,血圧,心拍数,心電図,尿量,体液及び電解質,また可能な限り肺動脈入圧,心拍出量及び血液ガス等,患者の状態を十分観察しながら,点滴静注の際には1分間当たり5 μg/kgから開始し,過量投与にならないよう投与量に注意する

(6)妊婦・授乳婦への投与

(a)動物実験(ラット皮下・経口,ウサギ経口)で胎仔の骨格異常及び外形異常が認められているので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,投与しない

(b)動物実験(ラット静注)で乳汁中への移行が認められているので,投与中は授乳を避けさせる

(7)小児への投与:小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)

(8)適用上の注意

(a)開封後速やかに投与する(開封後時間が経過するにつれて酸化され着色する)

(b)他の注射剤と混合せずに用いることが望ましい(患者の病態に応じて,点滴静注速度を調節する必要がある)

(c)現在までに次の注射製剤と混合後24時間までに配合変化を起こすことが確認されているので,混合しない

・ブドウ糖・マルト−ス含有の輸液[ただし,これらの輸液の点滴静脈内投与経H中に,本剤をI.V.Push法により静注若しくはPiggyback法により点滴静注する場合は差し支えない(接触時間が短い)]

・ジアゼパム,アミノフィリン,フロセミド,カンレノ酸カリウム,アセタゾラミド,メシル酸フェントラミン,アンピシリン,セフォテタン,セフタジジム

(d)現在までに次の注射製剤と混合後24時間までは,配合変化を起こさないことが確認されている:

果糖5%注,ソルビットT,20%マンニット−ル注射液,強力モリアミンS,イノバン注,

ドブトレックス注射液100 mg,アクトシン注,ミリスロ−ル注,プロタノ−ル-L注,

アミノレバン,ラクテックG注,クリニット注10%,ソルビット・ハルトマン,ハルト

マン液pH:8,フィジオゾ−ル・3号S

(9)その他

(a)外国での臨床試験の結果,経口

剤では消化器障害等の副作用が高い頻度で認められたため,日本及び外国では経口剤は発売されていない

(b)外国において,短時間に大量投与(3時間にわたり840mg)された1例で死亡が報告されている。因果関係は明らかでないが,薬剤の調製や投与に十分注意する

(c)外国において,ジソピラミドと併用した1例で,過度の血圧低下が報告されている。因果関係は明らかでないが,併用する場合には,十分注意する

(10)室温保存

(11)規制等:劇指要

【作用】

(1)薬効薬理

(a)強心作用
・摘出ネコ右心房筋標本で濃度依存的に発生張力を増大。拍動数増加作用は弱い

・摘出ネコ乳頭筋標本で濃度依存的な発生張力増大と収縮速度(df/dt)を増加。最大収縮到達時間には影響を及ぼさない

・麻酔及び無麻酔イヌで用量依存的に心筋収縮力を増強。心拍数増加作用は弱い

・急性心不全患者でダブルプロダクトにほとんど無影響に,用量依存的に心係数の増加,肺動脈入圧の下降に加え左室拡張末期圧,左室拡張末期容量,左室収縮末期容量を減少

(b)血管拡張作用

・摘出イヌ脳動脈,冠動脈,上腸間膜動脈,腎動脈及び大腿動脈標本でPGF2α及びKClによる収縮を濃度依存的に弛緩

・摘出イヌ伏在静脈標本でKClによる収縮を濃度依存的に弛緩

・麻酔イヌで血圧及び肺動脈圧を下降

・麻酔イヌで総頚動脈,椎骨動脈,冠動脈,上腸間膜動脈,腎動脈及び大腿動脈の血管抵抗下降作用は冠動脈及び上腸間膜動脈で顕著

・急性心不全患者で用量依存的に全末梢血管抵抗を下降

(c)実験的心不全に対する作用

・麻酔イヌのペントバルビタ−ル,プロプラノロ−ル,プロカインアミド及びベラパミルによる誘発心不全に対し,低下した心筋収縮力及び心拍出量を増加させ,中心静脈圧,右房圧及び全末梢血管抵抗を下降させて急性心不全状態を改善

・麻酔イヌで冠動脈結紮による誘発心不全に対し, 左心室1回仕事量増加なしに左心室内圧最大立ち上り速度(max.dp/dt)及び心拍出量を増加させ急性心不全状態を改善

・麻酔イヌに電気刺激で心室細動の反復誘発による誘発心不全に対し,低下したmax.dp/dt及び1回拍出係数を増加させ,肺動脈入圧及び全末梢血管抵抗を下降させて急性心不全状態を改善

(d)心筋代謝に対する作用

・麻酔イヌで正常時及び冠動脈結紮急性心不全時に心筋酸素消費量をほとんど増加させずに強心作用を発現

・麻酔イヌの冠動脈結紮急性心不全モデルで,虚血部の乳酸摂取率に対し改善傾向,心筋虚血を悪化させずに強心作用を発現

(e)心臓刺激伝導系に及ぼす電気生理学的作用

・摘出イヌプルキンエ線維及びネコ乳頭筋標本で,静止膜電位,最大活動電位,有効不応期,活動電位2相の高さ,活動電位持続時間,活動電位0相の最大立ち上り速度及び伝導時間にほとんど影響を及ぼさない

・麻酔イヌでも臨床用量に近い用量で不整脈を発現せず,G-ストロファンチン誘発不整脈の発生頻度を有意に下降,エピネフリン誘発不整脈の発生頻度は増加

(f)作用機序:ホスホジエステラ−ゼIIIを選択的に阻害,β-受容体を介さずに細胞内サイクリックAMPを選択的に増加,心筋収縮力増強作用及び血管拡張作用を発現

(2)体内薬物動態

(a)血中濃度:健康成人男子に0.5〜2 mg/kg/1〜2分で単回静注時,未変化体濃度の消失相半減期は約3時間

(b)代謝:ヒト尿中の主代謝物は1級アミンのN-アセチル体,N-グリコロイル体

(c)排泄:健康成人男子に単回静注後24時間までの尿中排泄約30%,未変化体が最も多く,他に1級アミンのN-アセチル体及びN-グリコロイル体が少量

(3)臨床適用

(a)臨床効果(二重盲検比較試験を含む改善率):59.6%(53/89)

(b)副作用及び臨床検査値の変動:副作用は11.89%(34/286)に42件,心室性期外収縮4.2%(12件),嘔気1.75%(5件),血小板減少1.68%(4/238), 上室性期外収縮・血圧低下各1.05%(3件),頻脈0.7%(2件),完全右脚ブロック・動脈血酸素分圧低下・めまい各0.35%(1件)等。臨床検査値の異常変動は,血小板減少6.3%(15/238,副作用の4件を含む),血清総タンパク減少2.76%(6/217),血清カリウム減少2.27%(6/264),LDH上昇2.05%(5/244)等

(4)非臨床試験

(a)毒性LD50(mg/kg)JcL-ICR系マウス:静注=♂256♀263,皮下=♂238♀212,経口=♂365♀354,JcL-SD系ラット:静注=♂148♀143,皮下=♂150♀152,経口=♂179♀147(Probit法)

(b)生殖試験

・妊娠前・妊娠初期(ラット皮下):親動物の生殖能に影響はみられなかった。50 mg/kg/日で胎仔体重の軽度低値。胎仔致死作用及び催奇形作用は認められなかった

・器官形成期(ラット皮下,ウサギ静注):ラットでは25 mg/kg/日で骨格異常仔の増加,50 mg/kg/日で胎仔致死作用及び出産仔の低体重。出産仔の生後の発育分化,行動機能及び生殖能への影響は認められなかった。ウサギに15 mg/kg/日でわずかに胎仔死亡増加。催奇形作用及び発育抑制作用は認められなかった

・周産期及び授乳期投与試験(ラット皮下):50 mg/kg/日で出産仔体重に軽度の増加抑制。出産仔の生存能,発育,発育分化,行動機能及び生殖能に影響は認められなかった

・その他(外国):ラットの生殖試験(経口)で高投与量で死産仔数の増加, 同腹胎仔数・生存胎仔数の減少,ウサギの生殖試験(経口)で胎仔の骨格異常及び外形異常

(c)その他の試験

・抗原性・がん原性:認められなかった・変異原性:細菌の遺伝子突然変異試験,CHO細胞の染色体異常試験,マウスの小核試験では弱陽性,in vivoでのラット染色体異常試験では陰性

(d)動物における吸収,分布,代謝, 排泄

・ラットに14C-標識体を静注及び皮下投与で,組織内濃度は腎臓で最も高く, 次いで動脈,胃,副腎及び肝臓等。血中濃度の低下に伴い,ほとんどの組織から速やかに消失,甲状腺及び動脈等で比較的遅かった。投与後120時間までの排泄は尿中86%,糞中11〜13%,イヌに静注では尿中68%,糞中26%。胆汁中排泄は静注後48時間までにラットで27%,イヌで20%

・ラット及びイヌに静注時の尿中排泄は大半は未変化体,他に代謝物としてラットで1級アミンのN-アセチル体,N-グリコロイル体及びN-グルクロン酸抱合体,イヌで1級アミンのN-グルクロン酸抱合体

・妊娠ラットに14C-標識体を静注5分後の生殖器官内濃度は子宮,卵巣,胎盤,胎仔及び羊水の順,胎仔内濃度は母体血の15〜18%,消失は速やか

・授乳中の母ラットに14C-標識体を静注後の乳汁中濃度は30分で血液の約7倍高かったが,消失は速やかで投与24時間後には血液と同程度

(e)一般薬理:

気管平滑筋を拡張し(モルモット,イヌ), ADP及びコラ−ゲンによる血小板凝集能を抑制(ラット,ヒト)。中枢神経系,呼吸循環器系,自律神経系等には特に問題となる作用を示さなかった (明治製菓,山之内による) .スタ−リングドラッグ(アメリカ)開発