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最終更新日 08/05/02
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受容体(レセプター)は細胞に存在して、物理・化学的な刺激を認識して細胞に応答を誘起する蛋白質です。薬剤を含む情報伝達物質のことを総称してリガンドまたはファーストメッセンジャーと言いますが、リガンドは情報を伝える「鍵」であり、受容体は「鍵穴」に相当すると考えると分かり易いと思います。 受容体がリレーする情報は、細胞の分裂、増殖、死の制御を通じて発生や形態形成を司っているほかに、知覚、認識、運動といったより高次の生命現象にも深く関与しています。
人の細胞は細胞膜、細胞質、核から成り立っています。 細胞膜には先の受容体のほか、細胞内外のイオン環境を調節したり、細胞の興奮や分泌などの活動と関連したイオンチャンネルなどが存在します。なかにはイオンチャンネルと受容体とが一緒になっているもの(イオンチャンネル共役型受容体)もあります。この場合イオンの通過により生じる電位で細胞内に信号を伝達します。 細胞質には蛋白合成や加工のためのリボソームやゴルジ体、エネルギーを産生するミトコンドリア、細胞内外の物質の輸送や情報伝達の機能を持つ小胞体などのユニットがあります。 核には遺伝子(DNA)が収納されています。体の組織をつくったり、体内の化学反応を進めているのはほとんどが酵素などの蛋白質です。蛋白質はアミノ酸から構成され、そのアミノ酸の配列を決める情報を遺伝子(DNA)からメッセンジャーRNAに読みとった(転写)後リボソームで必要な蛋白質を合成します。
受容体は細胞での場所で大きく2つに分けられます。 1)核内受容体(細胞内受容体とも言います) 細胞膜を自由に通過できる脂溶性ビタミンA、Dやステロイドホルモンや甲状腺ホルモン等の脂溶性の物質を受容します。これらのリガンド(情報伝達物質)により核内のDNAの特定配列に結合し転写して、必要な蛋白質を合成して生体反応をひき起こします。 ステロイドホルモン受容体ファミリーであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator-activated receptor; PPAR)が糖・脂質代謝に関与する種々の標的遺伝子を調節している転写因子として最近注目されています。PPARにリガンドが結合すると、RXR(レチノイドX受容体)とヘテロダイマーを形成し、標的遺伝子上流にある応答配列PPRE(PPAR response element)に結合し、転写を制御しています。 α型が肝臓、心臓、腎臓、褐色脂肪細胞などの脂肪消費臓器に、β型は脳に、γ型は白色脂肪細胞等の脂肪蓄積臓器に多く存在するとされます。高脂血症治療薬のフィブラート系薬剤はPPARαのリガンドとしても働き、脂質改善作用、抗炎症作用、抗酸化作用などの多機能作用を発揮します。またPPARγはチアゾリジン誘導体がリガンドの1つであることが分かっていて、脂肪細胞分化に関与する転写因子に働き、小型脂肪細胞を増加させインスリン抵抗性を改善するとされています。 2)細胞膜(貫通型)受容体 ペプチドホルモン、神経伝達物質、増殖因子などの細胞膜を通過できない水溶性の物質を膜表面で受容します。受容後はセカンドメッセンジャーと言われる細胞質内の情報伝達物質を介して間接的に情報を伝達して作用を発揮します。最終的には体内物質の活性を抑えたり、細胞の核に存在する特定の遺伝子(DNA)の転写を促して蛋白質を合成して生体反応をひき起こします。
受容体はアミノ酸の配列(蛋白質)からできており、複雑な立体構造から成り立つ「鍵穴」です。鍵穴にフィットすることを親和性があるといいます。本来体内にない化学構造の薬物が細胞に作用するのは、天然に体内外あるリガンドと共通の立体構造があり、受容体に親和性があるからです。もともと体内に存在するリガンドを内因性リガンドといいます。 また鍵穴(受容体)の数は細胞の環境に応じてダイナミックに変化し、状況に応じて受容体の数を減らしたり(ダウンレギュレーション)、受容体の数を増やしたりもします(アップレギュレーション)。
何種類かの鍵穴にフィットするマスターキー的な選択性が低いリガンドもあれば、特定の種類の鍵穴にのみフィットするリガンドは選択性が高いと言われます。受容体に作用する薬剤の視点からは受容体刺激薬と受容体遮断薬に大きくわけられます。 1)受容体刺激薬 薬物(鍵)が鍵穴(受容体)に作用し、細胞に本来の情報を伝達し作用するものを受容体刺激薬と言います。 2)受容体遮断薬 薬物(鍵)の中には、特定の鍵穴にフィットするが鍵穴をふさぐのみで結果的に、他にフィットし作用をもつリガンドをブロックするものを受容体遮断薬といいます。 |