ヘパリン・メモ

 

   

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最終更新日 03/11/04

 

 

ここでは深部静脈血栓症、肺塞栓、急性冠症候群の場合で成人を対象に、体重に基くヘパリン投与方法について、海外の推奨プロトコールを当科での経験に基き改変し(平均2割減)迅速かつ安全に治療域に達しそれを維持するためのステップの1つの例を記した。使用にあたっては各施設毎にプロトコールを調整されたい。

以下の場合にはこの投与スケジュールは適応しないこと

1)血小板IIb/IIIa受容体遮断薬投与中
2)血栓溶解療法中
3)末期腎不全
4)出血が危険となる神経疾患を有する場合
5)投与前のaPTTが異常

ベースラインデータの収集

1)患者体重測定
2)ヘパリン投与前のPT、aPTT、血小板を含む血算
3)便潜血反応(グアヤックなど)

ヘパリン初期投与量

1)表1の体重に基いたヘパリンの静脈内投与(10分間で)
2)20%グルコースあるいは生理的食塩水にヘパリン10,000単位(U)を溶解して全体を50ccに調整(200U/cc)後に表1の体重に基いたヘパリンの点滴静注(括弧内はcc/hr)をポンプを使用し開始。
 
表1.成人の体重に基いたヘパリン初期投与量
体重Kg
初回IV [U]
初期DIV [U(cc)/hr]
36-40
2400
560(2.8)
41-45
2800
640(3.2)
46-50
2800
720(3.6)
50-54
3200
720(3.6)
55-58
3600
800(4.0)
59-63
4000
880(4.4)
64-67
4000
960(4.8)
68-72
4400
1040(5.2)
73-76
4800
1040(5.2)
77-81
5200
1120(5.6)
82-85
5200
1200(6.0)
86-90
5600
1280(6.4)
91-95
5600
1360(6.8)
96-99
6400
1440(7.2)
100-104
6400
1440(7.2)
105-108
6800
1520(7.6)
109-113
7200
1600(8.0)
114-117
7200
1680(8.4)

追跡検査とヘパリン投与量の調節

1)6時間後にaPTTを測定する。
2)aPTTの値により表2に従ってヘパリン投与量の調節をする。
3)変更があれば更に6時間後にaPTTを測定する。
4)連続2回のaPTTが治療域であればヘパリン投与中は毎日午前中にaPTTを測定する。
5)毎日血小板数を含む血算と便潜血反応をチェック。
表2.成人の体重に基いたヘパリン維持量調節
aPTT
<48秒
48〜59秒
60〜105秒
106〜146秒
>146秒
体重Kg
IV[U]
DIV U(cc)/hr
IV(U)
DIV U(cc)/hr
 
DIV U(cc)/hr
DIV U(cc)/hr
36-40
2500
+160(+0.8)
1200
+80(+0.4)
 

-80(-0.4)
 

-80(-0.4)
41-45
2700
+160(+0.8)
1400
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-80(-0.4)
46-50
3000
+160(+0.8)
1500
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-80(-0.4)
50-54
3300
+160(+0.8)
1700
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-160(-0.8)
55-58
3600
+160(+0.8)
1800
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-160(-0.8)
59-63
3900
+160(+0.8)
1900
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-160(-0.8)
64-67
4200
+240(+1.2)
2000
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-160(-0.8)
68-72
4500
+240(+1.2)
2200
+80(+0.4)
-80(-0.4)
-160(-0.8)
73-76
4700
+240(+1.2)
2400
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-160(-0.8)
77-81
5000
+240(+1.2)
2600
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-160(-0.8)
82-85
5400
+240(+1.2)
2600
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
86-90
5600
+320(+1.6)
2800
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
91-95
5900
+320(+1.6)
3000
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
96-99
6200
+320(+1.6)
3100
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
100-104
6500
+320(+1.6)
3300
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
105-108
6800
+320(+1.6)
3400
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
109-113
7000
+320(+1.6)
3500
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)
114-117
7400
+400(+2.0)
3700
+160(+0.8)
-160(-0.8)
-240(-1.2)

ヘパリン治療中断後の再開

1)1時間未満の中断なら中断前の点滴静注速度で再開し6時間後にaPTT測定
2)1時間以上の中断なら表1に従い再度静注し、中断前の点滴静注速度で再開し、6時間後にaPTT測定

ヘパリン治療中の注意

1)筋肉注射を避ける。
2)特別な場合以外、アスピリンやNSAIDSは投与しない。
3)出血の兆候に最大の注意を払う。

ヘパリンの中和:プロタミンの使用

1)血液科への相談を考慮
2)もし至急ヘパリンの中和が必要なら過去2時間に投与したヘパリン100単位(U)当たりプロタミン1mgを投与するが、最大50mgにとどめる。
3)適切量を3分間で静注するが、心機能が悪ければ15分間で静注すること。
4)プロタミン投与15分後にaPTTとPTを測定する。